海外進出時の現地税務への対応
本稿は初出時点の制度に基づく基礎解説です。その後の税制改正により取扱いが変わっている場合があります。
この記事の内容
- 海外進出時に海外子会社が法人として対応が必要なこと
- 現地で対応が必要な各種税務に関して確認すべきこと
- 駐在員を派遣する場合の留意点
ビジネス拡大を目指して海外に進出する場合、子会社を進出先現地に設立することが多いかと思います。
この場合、この海外子会社は基本的に現地税制に対応する必要があり、税務上の対応漏れ等が発生しないようにするためにも、現地税制をしっかりと確認し、対応が必要な事項を洗い出すことが必要です。
一般的には現地の専門家等に依頼して現地税制の確認を実施するかと思いますが、現地事業立ち上げを円滑に進めるためには会社担当者としても一定の理解が必要です。
そこで、本記事では、一般的に対応が必要となる現地税制の全体像を解説していきます。
海外進出を検討する際の税務上の観点からのリスク評価や、現地専門家との打ち合わせ時におけるチェックリストとしてご活用頂ければと思います。
海外子会社が法人として対応が必要なこと
まずは法人として対応が必要な税務です。
税制は国によって異なるため、具体的に対応が必要な事項は各国税制を確認する必要がありますが、一般的には「法人税」、「間接税」、「移転価格」への対応が必要となります。
法人税
まず、海外子会社は基本的に現地で法人税の申告・納税が必要となります。
そのため、現地の法人税申告・納税に関するルールを把握し、申告・納税を適切に行うための体制を確立することが必要です(日々の記帳や決算書の作成、申告書の作成は誰が行うかなど)。
なお、国際税務の基本ルールとして以前紹介したとおり、居住者か非居住者かによって課税の範囲が異なり、また居住者に対する課税の範囲も国によって異なります。
そのため、海外子会社が現地で居住者・非居住者のどちらに該当するのかや、全世界所得が課税対象となるのか国内源泉所得のみが課税の対象となるかなどの課税の範囲もしっかり確認することが重要です。
間接税
海外子会社は法人税の他にも間接税への対応の要否を検討する必要があります。
間接税の代表的なものとして、日本でいう消費税のような税制が設けられていることが多くなっています。
そもそもどのような間接税が課されるかを含め、間接税の対応に必要な事項を把握することが重要です。
移転価格
連結子会社は日本の親会社と取引があるケースが多いかと思います。
例えば日本親会社からの商品の仕入れであったり、著作権などの使用に対するロイヤルティの支払い、日本親会社へのマネジメントフィーの支払い、日本親会社からの借入に対する利息の支払いなどです。
これらの取引は基本的に移転価格の対象となってくるため、独立第三者価格に基づく適切な価格の設定のみならず、移転価格文書の作成なども必要になってきます。
また、移転価格については以下の点にも留意が必要です。
その他
その他、海外子会社が現地で対応が必要になる事項についてまとめておきます。
派遣される駐在員のために対応すべき税務
海外子会社に従業員等が派遣される場合、その海外赴任者は一般的に現地で給与所得が課税されます。
これは海外進出フェーズシリーズの「従業員・役員の海外派遣時に留意すべき税制〜従業員・役員の立場〜」編で詳しく解説しました。
この駐在員の個人所得税について、海外進出時に一般的に対応すべきことは以下の通りです。
まとめ
以上、今回は海外進出時に海外子会社を立ち上げた際、この海外子会社が一般的に現地で対応が必要となる税制、そしてその税制に関して把握すべき事項を解説しました。
今回のポイントは以下の通りです。
- 税制は国によって異なるため、具体的に対応が必要な事項は各国税制を必ず確認
- 一般的には「法人税」、「間接税」、「移転価格」、そして駐在員の「個人所得税」への対応が必要
- 何れの税制に関しても、作成が必要な文書の種類や、作成・申告期限を把握する
- 移転価格については、日本からの視点のみではなく、海外からの視点でもしっかり対応できているか検討する
本稿は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の案件についての税務上の助言ではありません。